2022年3月29日現在。『千と千尋の神隠し』の舞台が話題になっています。
そして東京千秋楽を記念して、文藝春秋2022年2月号に載っていた、イギリスの演出家・ジョン・ケアード氏、映画に続き出演する俳優の夏木マリ氏、スタジオジブリ代表取締役でプロデューサーの鈴木敏夫氏の座談会を特別に全文公開されました。
https://bunshun.jp/articles/-/53009
その中で、鈴木プロデューサーの次の一文が私の目に止まります。
僕は宮さんの描いた絵コンテを子細に調べたんですよ。そうしたら、3日間でした。たった3日の話があれほどスケールのデカい映画になっていたんです。
『文藝春秋2022年2月号』(鈴木敏夫)
以前に『となりのトトロ』は1年間を描いている映画であるということを記事を書きましたが、それ以上に驚きました。
なので今回は、ストーリーを追いながら本当に3日間のお話だったのかを、
時系列を追いながら検証してみたいと思います。
目次
DAY1 『千の契約』
昼過ぎ 湯屋に足を入れた荻野家
まず、物語の始まりは車の中です。
そして、湯屋の入り口に到着して両親は勝手に店のものを食べ始めます。
時間が分かる描写はありません。
逢魔が時 ハク登場
逢魔が時は、夕方の薄暗くなる、昼と夜の移り変わる時刻。黄昏どき。魔物に遭遇する、あるいは大きな災禍を蒙ると信じられたことから、このように表記される。
ウィキペディア
ハクが登場する時、背景が茜色から暗くなっていきます。
おそらく、逢魔が時をイメージされていたと思われます。
そして、あったことを逆算すると、物語の始まりは昼過ぎと推測できます。
夜 湯婆婆との契約
ハクの導きで、湯屋に潜入し、
釜爺に助けられ
リンに助けられ
最上階で湯婆婆と契約を交わします。
DAY2 『おクサレ様の乱』
未明 千、油屋に就職する
湯婆婆と契約した後、従業員の前でハクが説明をします。
従業員がみんないる=営業が終わっている
となりますので、お客が帰った後のミーティングといった所でしょうか。
ハクのセリフに次のようなものがあります。
ここのものを3日も食べればにおいは消えよう。
筆者はあまり意識していなかったセリフですが、
物語が3日で終わることを考えると、
「まあ実は3日もいないんだけどね」
という監督の声が聞こえてきそうです。
朝 ハクのおにぎり
翌朝、他の従業員が寝ている中、
ハクに起こされた千尋は油屋の外に出ます。
その中で、おにぎりを食べる名シーンもあります。
昼 カオナシを呼び入れる
その後、油屋を掃除するシーンがあり、
外にいたカオナシを引き入れる描写があります。
開店前ですのでお昼過ぎ頃と思われます。
夜 おクサレ様ご来店
この日のメインイベントは、おクサレ様の来店です。
千尋達が一生懸命お世話をした後、
おクサレ様が本来の姿、河の神となり帰っていきます。
その後、リンと一緒に軒下で喋るシーンでは空が暗く、仕事終わりなので、
夜〜未明になっていく時間描写です。
DAY3 『カオナシの暴走』『ハクの真実』
朝 カオナシをもてなし
未明に、カオナシが青蛙を食べ、兄役が遭遇した時に
誰ぞそこにおるのか?消灯時間はとうに過ぎたぞ。
というセリフがあるので、ここから3日目のスタートです。
千尋が起床した時には、周りに誰もおらず、
従業員は皆、こぞってカオナシをもてなししていました。
昼 ハク落とし〜カオナシ鎮火
時間の描写はありませんが、
ハクが血だらけになり
カオナシが人を丸呑みし
坊と千が出会い
ハク竜と千がボイラー室へ行き
カオナシが暴走して
油屋外の駅にいく
ここまでが昼の間の出来事です。
一番時間の密度は濃い部分ではないでしょうか!
昼〜夜 海原電鉄、沼の底へ
そして千尋一行は海原電鉄に乗り込み、沼の底を目指します。
電車内で夕暮れとなり、夜は更けていきます。
そして、銭婆と会った後、ハクと千尋が空を飛ぶシーンは真夜中です。
DAY4 『Ending』
千尋とハクが油屋に帰って来た時は空は青いです。
そして、宿泊客の神様達もいるのでおそらく午前中だと思われます。
元の世界に戻って物語は終わります。
『千と千尋の神隠し』は丸々3日間の物語だった
どうだったでしょうか?
日付としては4日間ありましたが、
1日目は昼から始まり、4日目は朝までなので
合計丸々3日間の物語だったということになります。
ジブリの中でも屈指のスケール感の『千と千尋の神隠し』
時間の経過は3日間だったと知って観ると更に面白くなるでしょう!