【考察】神様たちのルーツを知る【千と千尋の神隠し】

『千と千尋の神隠し』ではたくさんの不思議なキャラクターが出てきます。

これまで、こんな記事も上げてます。

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今回は、映画に登場するたくさんの神様たちについて紹介をしていきます。
また、その中で私たち日本人の宗教観みたいなものが見えて来れば
さらに映画が面白くなるはず!

日本の神様には形がない

キャラクターたちの紹介に入る前に、まず私たちの普段から持っている宗教観についてふれておきます。

いや、私は無宗教なんだけど、という人へ

いやいや宗教とか怖いし、そんな話聞きたくないんだけど!

という方でも、日本に生まれ育っている時点で実は無宗教とは言えないのです。

私たちは、もの一つ、葉っぱの一枚の中にも神様を見ているのです。

「神」ってワードが大袈裟に聞こえてしまうのが良くないのでしょうね。

具体的にいうと

  • 家を建てる前に地鎮祭で土地の神を祀る
  • 大きい木を見て、畏敬の念が生まれる

本当に些細なことですけど、

こうした身近な話に日本人の宗教観があると思います。

アニミズムという自然界のそれぞれのものに固有の霊が宿るという考え方があります。

そして、アニミズムは宮崎アニメの根底に流れているものと考えます。

『千と千尋の神隠し』のイメージソング集に『神々さま』という曲があり、

その歌詞で、神様の名前を連ねている部分がありますので、そこも読むとイメージが湧くと思います。

竈(かまど)神 井戸神 雨戸神 屋根神

柱神 便所神 田の神

畑神 山の神 舗装道路の並木神

汚れもひどき河の神

(中略)

(腰の抜けたる泉神)

やって来たのは隣の世界の湯屋「油屋」

(空気の神はもうこない)

(電気達には神はない)

神々さま 歌:おおたか静流

歌の方が気になった方は、イメージアルバムも是非おすすめです!

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形のある偶像崇拝は仏教由来

日本にある宗教で主なものに仏教があります。

仏教は日本古来のものではなく大陸由来のものですよね。

仏教には「仏像」という形があります。

これに対して、日本古来の神には形がありません。

キーになる自然界のものはあるのですが、神の姿は目に見えないのです。

姿のないものをアニメで表現する

日本の神様の姿が目に見えないのはわかりました。

でも、見えないものは描くには形が必要

ここの発想の部分に注目して、改めてキャラクターを見てほしいです!

また、いつもは画像をスタジオジブリの公式サイトから頂いているのですが、

神様それぞれの画像はなかったため、筆者のかわいらしい(拙い)絵でご勘弁ください。

オオトリ様

かわいらしい見た目で人気のオオトリ様

見た目とは裏腹に「孵化できなかったヒヨコの神様」

という悲しい設定がついています。

バスで集団客として油屋に来ています。

筆者も好きでぬいぐるみを持っています。

おしら様

映画では「大根」の見た目をしていて半裸姿で千尋を助けてくれる神様です。

おしら様は実際に存在する神様でもあります。

東北地方におしらさま信仰があり、

神話については長くなるので省きますが、キーワードとしては

「馬」「女」「蚕」

があって、地方によって信仰のされ方が若干異なっています……

あれ?と思いませんでしたか?

そう、「大根」は神話の中のモチーフにはないのです。

じゃあなぜ宮崎監督は「大根」の形を与えたのかと考えてみましょう。

「馬」からのイメージ

連想ゲームのように、

「馬」「農耕」で使われる。

「農耕」で収穫された「大根」

「大根」である必然性はこれでは分かりませんが、関連付けはできそうですね。

「女」からのイメージ

「女」というワードが絡む信仰には「安産祈願」が付き物です。

同じように連想ゲームをすると、

「女」からの「安産祈願」

「安産祈願」で使うものに「二股大根」がある

まさにおしら様は「二股大根」の顔をしていますよね!

この2つのイメージから、おしら様の形が作られたと考えられます。

「蚕」のイメージはどこへ?

「蚕」からは「絹」を作ることができ、「服」が連想されます。

東北地方では、毎年おしらさまに新しい布を奉納し何重にも着せる信仰が残っています。

映画では、半裸の姿で一般的には知られているおしら様ですが、最後の千尋とのお別れシーンでは服を着ています。

設定画などでは何重にも服を着ている姿も見れます。

現実世界では服を着せられすぎた反動で、油屋では服を脱いでいる。

と考えたら面白くありませんか?

春日様

奈良県には「春日大社」があります。

しかし、春日様自体は春日大社で祀られていません。

春日大社で行われる神事の舞でつける「面」がモデルになっています。

春日大社ではその舞はもう見れないそうですが、

現在、広島県にある宮島の元始祭での舞楽『胡徳楽』として奉納されています。

映画の中では客船から団体客として現れますが、

筆者はその様子が春日大社にある藤浪之屋(ふじなみのや)の万燈籠の様に見えました。

是非、そちらも見てみてください。

まとめ

どうだったでしょうか?

宮崎監督は、日本の風土を上手く解釈して、私たちにアニメーションという形で見せてくれています。

神様達の造形の由来も考えると、『千と千尋の神隠し』が、ぐっと楽しめる様になると思います。

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